ヌーベルバーグの落とし子~「汚れた血」(レオス・カラックス)

3作はどれもが魅力的です。ただ、1本を選べと言われたら「汚れた血」になるでしょう。アンナ役のジュリエット・ビノシュがまぶしすぎます。舞台はパリの近未来です。SF的な恋愛系と言ったら誤解されそうな気がします。

さまざまな要素が入っていて、特に思春期特有の切なさが全編をつらぬいているのが特徴でしょうか。前作「ボーイ・ミーツ・ガール」はモノクロでした。これがレオス・カラックスにとって初のカラー作品になります。特に、パリの風景は退廃に満ちた夜を描いているのが目に焼きつくでしょう。

この映像美は、撮影のジャン=イヴ・エスコフィエが大きく貢献しています。アレックス3部作はすべて、彼の撮影によるものでした。どうしようもない欲望への乾きを映像だけで表現しているのは素晴らしいの一言に尽きます。

また、主題歌であるデヴィッド・ボウイの「モダン・ラブ」が意味深です。疾走するリズムに、ポップなメロディの曲なのですが、決して、映像と被ることがなく、引き立て役として使われています。

もし、「汚れた血」を気に入ったら「ボーイ・ミーツ・ガール」と「ポンヌフの恋人」と合わせて観てください。決して多作とは言えない監督ですが、とても刺激的な作品に魅了されるでしょう。