尾道三部作の始まりです…~「転校生」(大林宣彦)

大林宣彦は原作を壊していくことが多いです。すべて、自分の色に変えます。「転校生」も、元になっている小説は、山中恒の「おれがあいつであいつがおれで」。少年少女向きの小説です。

映画は思春期を描いています。尾美としのりが演じる一夫と、小林聡美が演じる一美が長い石段から落ちて入れ替わる物語です。コミカルから切ない場面まであります。そこに描かれているのは大林宣彦というひとりの少年がつくったストーリーです。

尾道三部作に共通することかもしれません。「時をかける少女」では原田知世を初主演に抜擢し、「さびしんぼう」では富田靖子にショパンの別れの曲が流れ続けます。少年のセンチメンタルです。

大林宣彦監督の作品で好みが分かれるところでしょう。まったく評価しない方もいます。溺愛している方も多くいることは間違いないです。これほど、ハッキリと好き嫌いが分かれる監督も珍しいと思います。

一番の見どころはラストシーンです。多くは語りません。一夫と一美には不思議なつながりができます。いつかは別れていくのが思春期です。何度も観てください。一美を演じる小林聡美の表情と仕草を。きっと、胸が痛くなるような気分になれば、それは大林宣彦作品にハマった証拠です。